刃物綱とはどういうものでしょうか。?
刃物綱を説明する前に鉄の事を知る必要があります。
純粋の鉄(fe)は白い光沢がある金属の色をしています。
鉄は主に鉄鉱石から作られます。鉄鉱石と石炭(コークス)などの燃料と一緒に燃焼させ、鉄にします。これを製鋼と言い、できた鉄(荒鉄)を銑鉄(せんてつ)と言います。
刃物綱を説明する前に鉄の事を知る必要があります。
純粋の鉄(fe)は白い光沢がある金属の色をしています。
鉄は主に鉄鉱石から作られます。鉄鉱石と石炭(コークス)などの燃料と一緒に燃焼させ、鉄にします。これを製鋼と言い、できた鉄(荒鉄)を銑鉄(せんてつ)と言います。
この銑鉄は炭素量が3%以上と多く、また、他の不純物も含んでいるため、炭素量と、不純物を減らす作業も製鋼といいます。
通常鉄材として使われる場合は鉄と何かの化合物でつかわれます。鉄と化合する分子やその量によって鉄は全く違う性質になります。
主に鉄の化合物は主に炭素(C)なんですが、その他にケイ素(Si),マンガン(Mn)、リン(P),イオウ(S)の5つの元素からなります。
それぞれの元素が含まれる割合によって、性質が大きくかわります。
鉄は主に炭素との合金ですが、その炭素の含まれる割合によって、性質が全く異なります。
炭素量が0~0.04%までの物を鉄、0.04~2.1%の物を鋼といいます2,1~6,7%の物を鋳鉄といいます。
炭素以外の物質(不純物)は酸化させたり、刃をもろくしたりと、良い影響はありませんので、極力すくない程よいのです。スエーデン鋼と言われる鋼はこれらの不純物が少なく、炭素量も高めなので、切れ味がよく切れ止みが少ないというわけです。
鉄は柔らかい性質があり、鋼は硬くて焼入れかできる都いう性質があり、鋳鉄は硬く割れる性質があります。これは産出するる鉄鉱石がよかったのと、製鋼時に使用する燃料(木炭)が純粋のだったためです。
鋼は刃物になる金ということで、刃金と書かれていました。この鋼の中でも炭素量によって性質がことなります。炭素量の少ない鉄は柔らかいので、研ぎやすい地金につかわれます。
鋼( 炭素量が0.04~2.1%の鉄)は焼入れすることで硬くなる性質がありますので、刃物にてきしているのです。包丁用の鋼としては0.8~1.4%程度の炭素量が使われています。
日本刀に使われる玉鋼でも1.43でこれが最高です。
この鋼の中でも炭素量が多いほど、硬くなるのですが、焼き入れ時に加熱する温度は740~800度なのですが、その中でも最適温度帯が狭く、相当熟練した職人にしかできません。最適温度帯を少しでもずれれば、出来上がってから曲ったり、割れたり、なまったりします。
また、硬いだけだとかけやすいため、焼き戻しで粘りを出すのも同様に難しいとされています。硬くて粘りがあるものが、切れ味が良く、切れ止みが少ないほうちょうとなります。
ですから、高炭素なものほど、制作には危険度が高い訳です。
白一鋼は鋼の中でも最も炭素量が多いのです。堺でも伝統工芸士は何十人もおられますが、この白一鋼が打てる職人は数名です。
炭素量が低いほど、安価で、焼入れもしやすく、失敗のロスもすくなくなります。
鋼の成分表
炭素C | ケイ素SI | マンガンMn | リンP | 硫黄S | クロムCr | タングステンW | モリブデンMo | |
炭素鋼の基準 | 0.1~1.5 | 0.1~0.4 | 0.5~0.8 | 0.03以下 | 0.03以下 | |||
1級玉鋼 | 1~1.5% | |||||||
2級玉鋼 | 0.5~1.2% | |||||||
左下鉄 | 0.70% | |||||||
包丁鉄 | 0.10% | |||||||
青紙1号A | 1.30~1.40 | 0.10~0.20 | 0.20~0.30 | 0.025以下 | 0.004以下 | 0.30~0.50 | 1050~2.00 | |
青紙1号B | 1.20~1.30 | 0.10~0.20 | 0.20~0.30 | 0.025以下 | 0.004以下 | 0.30~0.50 | 1050~2.00 | |
青紙2号A | 1.10~1.20 | 上に同じ | 上に同じ | 上に同じ | 上に同じ | 上に同じ | 上に同じ | |
青紙2号B | 1.00~1.10 | 上に同じ | 上に同じ | 上に同じ | 上に同じ | 上に同じ | 上に同じ | |
白紙1号A | 1.30~1.40 | 上に同じ | 上に同じ | 上に同じ | 上に同じ | |||
白紙1号B | 1.20~1.30 | 上に同じ | 上に同じ | 上に同じ | 上に同じ | |||
白紙2号A | 1.10~1.20 | 上に同じ | 上に同じ | 上に同じ | 上に同じ | |||
白紙2号B | 1.00~1.10 | 上に同じ | 上に同じ | 上に同じ | 上に同じ | |||
白紙3号 | 0.80~0.90 | 上に同じ | 上に同じ | 上に同じ | 上に同じ | |||
黄紙2号A | 1.10~1.20 | 上に同じ | 上に同じ | 0.030以下 | 0.006以下 | |||
黄紙2号B | 1.00~1.10 | 上に同じ | 上に同じ | 上に同じ | 上に同じ | |||
SK鋼3 | 1.00~1.10 | 0.35以下 | 0.35以下 | 0.03以下 | 0.030以下 | |||
SK鋼5 | 0.80~0.90 | 0.35以下 | 0.35以下 | 0.03以下 | 0.030以下 | |||
銀紙1号 | 0.8~0.90 | 15.0~17.0 | 0.30~0.50 | |||||
銀紙2号 | 0.45~0.55 | 12.5~14.5 | 0.30~0.50 | |||||
銀紙3号 | 0.95~1.10 | 13.0~14.5 | ||||||
スエーデン鋼 | 1.42 | 0.2 | 0.26 | 0.011 | 0.015 | |||
玉鋼1 | 1.23 | 0.01 | 痕跡 | 0.009 | 痕跡 | |||
玉鋼2 | 1.43 | 0.02 | 痕跡 | 0.011 | 痕跡 | |||
玉鋼3 | 1.15 | 0.023 | 痕跡 | 0.018 | 痕跡 |