プロが教える和包丁の研ぎ方|初心者でも切れ味が蘇る基本手順
包丁の研ぎ方には様々な考え方があり、研ぎ角(23度、26度、30度など)や使う砥石の種類も用途によって異なります。
ここでは、ご家庭でも実践できる「基本に忠実で、確実に切れ味が蘇る和包丁の研ぎ方」をプロの目線から分かりやすく解説します。
【和包丁の研ぎ方】研ぎ前の下準備
1. 3種類の砥石を揃える
切れる包丁を望むなら、用途に合わせた3種類の砥石を用意するのが理想です。週に2〜3回程度研ぐ日常使いであれば「中砥石」と「仕上げ砥石」だけでも十分ですが、刃こぼれ(カケ)を直す場合や久しぶりに研ぐ場合には「荒砥」が必須になります。
| 種類 | 番手の目安 | 役割・用途 |
|---|---|---|
| 荒砥(あらと) | #100~#300 | 刃こぼれの修正、刃の形を整える。大きく削る用。 |
| 中砥(なかと) | #800~#1200 | 日常のメンテナンス。切れ味を復活させる基本の砥石。 |
| 仕上げ砥石 | #5000~#10000 | より鋭い切れ味と、刃の美しさを引き出す最終仕上げ。 |

2. 研ぐ場所を確保し、砥石を水につける(5分以上)
砥石は水平、または手前が少し下がるように濡れ雑巾などの上に置いてしっかり固定します。高さが合っていないと肩や腕を痛める原因になりますので、無理のない楽な姿勢で行える場所を選びましょう。
また、砥石は水に溶けながら刃物を研磨します。使用する前に5〜10分ほど水に浸し、研いでいる最中も表面の水が乾いたらこまめに水をかけてください。(※一部の仕上げ砥石は水に浸さず、水をかけるだけで使用するものもあります)
3. 砥石の「面直し」をする(超重要)
うまく研げない原因の多くは、砥石が変形して反っていることにあります。プロとアマチュアの決定的な違いは「毎回砥石の面を真っ平らに直しているか」です。

4. 包丁の状態をチェックする(電灯の下で)
研ぐ前に包丁の「顔」をよく観察しましょう。蛍光灯ではなく、電灯(白熱球など)の光にかざして反射を見ることで、刃の欠けやサビ、研ぎ残しなどの具合がよく分かります。
- 刃こぼれ(カケ)はないか
- 刃形に反りや曲がりはないか
- 裏刃にサビはないか
- 丸刃(丸みを帯びて切れなくなっている状態)になっていないか
【和包丁の研ぎ方】実践ステップ
いよいよ研ぎに入ります。和包丁は基本的に構造が同じため、どの包丁でもこの研ぎ方がベースになります。
Step 1. 正しい包丁の握り方と砥石への当て方
右手の小指と薬指の付け根で包丁の柄をしっかり挟み、親指と人差し指でブレードの峰(背)を挟むように添えます。
左手は、力を入れたい時は人差し指・中指・薬指の3本、軽く研ぎたい時は人差し指と中指の2本を刃先に当てます。

砥石に対して包丁を45度くらいの斜めに構え、上下に動かします。
【力加減のコツ】前へ押すときだけ力を入れ、手前へ戻すときは力を抜いて砥石に這わせるように戻します。

Step 2. 砥石をまんべんなく使う(部分減りを防ぐ)

砥石の同じ場所ばかりで研ぐと、砥石が部分的に凹み、包丁が「丸刃」になってしまいます。数回動かしたら砥石の四隅や上下に場所をずらし、平面を保つように意識して研いでください。
Step 3. 裏押し(裏面を研ぐ)
まずは裏面を中砥石にピタッと密着させて研ぎます。切っ先(先端)から刃元に向けて研いでいき、刃先に砥石が1mm程度当たっていればOKです。裏面に砥石が当たっていない箇所があると、表面をいくら研いでも切れるようになりません。
Step 4. 表面の研ぎ(切っ先から刃元へ)
切っ先から刃元へ向かって少しずつ研いでいきます。「シノギ面」の刃先がしっかり砥石に当たるよう、左手で押さえる位置を調整します。数回研ぐごとに、包丁を持ち上げて研げている場所を確認しましょう。
※注意:急いで刃を立ててはいけません。新品の時の角度を思い出し、その角度を保つことが最大のコツです。
Step 5. カエリ(バリ)の確認
研いでいると、刃の反対側にめくれ上がった金属のバリ「カエリ」が出てきます。このカエリが刃の全長に出るまで研ぎます。中砥石から仕上げ砥石に移る際、軽く2〜3回裏面を研いでこのカエリを取り除きます。
Step 6. 小刃(コバ)付けと仕上げ
仕上げ砥石に移り、同様に研ぎます。最後に、包丁を45度程度に立てて10回ほど軽く研ぎ「小刃(コバ)」を付けます。髪の毛1本分ほどの小刃をつけることで、刃の強度が増し、切れ味が長持ちします。

最後の仕上げとして、新聞紙の上に刃を滑らせてシャカシャカとなぞります。これにより目に見えない微細なバリが取れ、刃先が綺麗に整います。
上手く研げない?よくある原因と解決策
「自分で研いでも全然切れない!」という場合、多くは研ぎの不足が原因です。
| よくある失敗 | 原因と解決策 |
|---|---|
| 全体的に切れない | 【原因】「研ぎカエリ」が出る前に次の砥石に移っている。 【対策】まずは荒砥石(#120〜#240)に戻り、確実にカエリが出るまで研ぐ感覚を掴んでください。 |
| 部分的に切れない箇所がある | 【原因】砥石が当たっていない箇所がある。 【対策】新聞紙を切って引っかかる場所を探すか、電灯にかざして研げていない箇所を特定します。その部分を意識して左手で押さえて研ぎ直します。 |
| 砥石に刃が当たらない | 【原因】砥石が部分的に凹んでいるか、包丁の角度が合っていない。 【対策】包丁を少し立てて(ほぼ垂直にして)上下に動かしてみてください。当たらなかった箇所が当たるようになります。 |
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