ある日、10年以上愛用していた銀製ハンドルのテーブルナイフを研ぎ直したいと考えていたお客様がいらっしゃいました。刃の部分は既に丸くなり、新しいものに交換することも考えられましたが、そのコストは高かったです。そこで、研ぎ直しを試みることにしました。このナイフは、ハンドルが銀製で刃の半分はステンレス製でした。テーブルナイフは通常、皿や鉄板の上で食材を切るために使用されるので、摩耗が早く進みます。
テーブルナイフやフォークには、包丁と同じ鋼材を使用しているものもありますが、18-8や18-10などのステンレス鋼が使用されているものもあります。磁石がくっつくかどうかで、使用されている鋼材を見分けることができますが、これは炭素含有量によるもので、切れ味に大きく影響します。市販のナイフは安全のためにあまり鋭くない状態で販売されていますが、適度な鋭さに研ぎ直すことは可能です。このナイフも、お客様が安心して使用できるよう、適度に鋭くしました。
また、東京のあるレストランからも高級テーブルナイフの研ぎ依頼がありました。高級なテーブルナイフは、1本1万円以上することもあり、包丁と同様に細かい手作業が施されています。しかし、高価なものであっても使用すれば摩耗し、切れ味が損なわれます。これらのナイフも包丁と同様に切り込み部分を薄くして新品に近い状態に戻し、切れ味を回復させました。テーブルナイフには包丁ほどの鋭い刃は必要ありませんが、適切な研ぎ方で長く愛用することができます。切れ味が戻ると、お客様のナイフへの愛着も一層深まるでしょう。