研ぎ直後の包丁欠けについて

錆びたステンレス包丁

お客様が研いでいただいた文化包丁が早々に刃先に欠けが生じたとのご報告を受けました。この包丁はお母様から受け継がれた大切なものであると伺いました。調査したところ、包丁にはステンレス特有の小さな黒い錆が見受けられましたが、これはステンレス製であっても発生することがあります。特に包丁に使用される高炭素鋼ステンレスは、その切れ味を向上させるために炭素を豊富に含んでおり、その結果、錆びやすくなっています。通常の18-8ステンレス製品とは異なり、これらの包丁は時間が経つと錆を発生させやすく、10年から15年の使用で顕著になることがあります。錆びが刃先に現れると、使用中に欠けやすくなります。

研ぎ直しによって表面は一時的に回復しますが、錆びが残っていると刃先が欠ける原因となります。こうした状態の包丁は約65年の歴史を持ち、まだ使用可能ではありますが、性能は低下します。

包丁の取り扱いには愛情を込めて、その寿命をいかに延ばすかは使用者に委ねられています。まな板を奥様、包丁をご主人と見立てる言い回しのように、私たちの道具も同様に大切に扱っていただきたいと願っています。私自身の包丁もわずかに錆び始めており、これを機に改めて手入れの重要性を感じています。

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